岸田文雄首相が衆院補選の応援演説で訪れた和歌山市で爆発物を投げつけられた事件で、威力業務妨害容疑で逮捕、送検された兵庫県川西市の無職、木村隆二容疑者(24)について、和歌山地検は刑事責任能力を調べるため、精神鑑定の実施を検討していることが捜査関係者への取材で判明した。事件から22日で1週間を迎えるが、木村容疑者は逮捕直後から黙秘を続けているとされる。爆発物を準備するなど行動に計画性がうかがえる一方で、首相を狙った動機は明らかになっていない。公判では責任能力の有無が争点になる可能性があり、地検は鑑定留置の必要があるとみて慎重に検討している模様だ。鑑定留置は専門医が容疑者の精神状況や生活実態などを調べるため、勾留を停止して身柄を医療施設に移す司法手続き。木村容疑者は定職に就かず、自宅に引きこもりがちだったとされるが、事件の約10カ月前に被選挙権の年齢制限などに不満を持ち、訴訟を起こしていたことが判明している。木村容疑者は15日午前11時25分ごろ、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の自民党候補の応援演説に訪れた岸田首相に向けて筒状の爆発物を投げつけ、演説会を妨害した疑いが持たれている。岸田首相は避難して無事だったが、男性警察官と聴衆の男性計2人が負傷した。木村容疑者は現場で地元漁師らに取り押さえられ、現行犯逮捕された。和歌山県警の検証で、現場から約60メートル先で爆発物のふたとみられる破片がコンテナの側面に突き刺さった状態で見つかっている。捜査関係者によると、県警は木村容疑者の自宅を家宅捜索した結果、鋼管や黒色火薬とみられる粉末、工具類などを押収した。県警から事情を聴かれた木村容疑者の母親は「ごみ箱に黒い粉があり、爆弾を作っていると疑ったことがある」と説明しているという。県警は自作したパイプ爆弾を演説会場に持ち込んだとみて、殺傷能力や構造などを詳しく調べている
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